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合氣道の稽古

平野 健一

総論

合気道は開祖植芝盛平先生が残された「道」です

「道統」は二代道主 植芝吉祥丸先生

三代道主 植芝守央先生に繋がっています

合気道の道場は、開祖に始まり

それぞれの先生に受け継がれて私たちに繋がっています

その間には各世代の沢山の先駆者達の発見や工夫が含まれています

このように開祖を始めとしてそれぞれに世界中に広がっています

どのような道であれ、道の先が翁先生に繋がっていれば

それは合気道です

稽古を始めるにあたり

自分がどのような立場でこの道に立っているのかを確かめてください

自分の家系の歴史(ルーツ)を知ることは重要です

例えば私、平野健一の親は増田学師範です

祖父は小林保雄師範です

翁先生は曾お爺さんになります

また、たくさんのおじさんおばさん、兄弟がいます

これが私の家系(ルーツ)であり誇り(プライド)です

(公財)合気会から頂く免状は

現在の道主である植芝守央先生の名前で頂いています

 

その他、(公財)合気会とは違う組織となっている道場もあります

開祖に繋がる合気道を冠するにふさわしい道場もあれば

名ばかりの何の関連も無い道場もあります

道は幾筋もありますが

道を間違えるといつまでたってもたどり着けません

私はどこへ行こうとしているのでしょうか?

修行者は常にこの道がどこに通じているかを確かめる必要があります

合気道の技は万国共通の言語であり

その稽古は会話に等しいものです

精神は自他の尊重であって

互いの人格を否定するものではありません

技は精神の表れです

稽古によって技を磨き

技を磨くことによって精神は磨かれます

この道は画一的な人格を作る道ではありません

合気道の精神である「万物を結ぶ愛」を中心に

磨き上げられた各個人が一つになる道です

一人々々が自然の法則にのっとり自由闊歩するための教えです

 

稽古は一期一会

 

同じ時代に道を同じくして

なお一つの技を共有することは奇しきことです

喜びのある時間にしてください

稽古

合気道の稽古は「結び」に帰結します

この「結び」が有って初めて合気道と成り得ます

稽古は積み重ねです

踏んだ足の数だけ、振った手の数だけ体に蓄積されるべきものです

それだけに基本をないがしろにした稽古は慎まなければなりません

 基本の無い稽古は身につきません

「基本が有る」とは「積重ねの構造」を備えていることです

常に順を踏まえて稽古することです

その始めは上体の結び

「立つ」ことです

上体とは、大きく分けて「骨盤」「胸郭」「頭」の三つを

縦に繋いで積み重ねることを言います

上体が「立つ」とは

「地球の重心」と「私の上体の重心」の関係の現われで

第一の基本の「結び」です

そして「地面」と「足裏」の接点があって

足首、膝を通して股のうえに「上体」が乗ると

一般に言う「立つ」となります

足が働かずにお尻で上体を支えていれば

「座る」と言います

自分が「動く」時には

この「立」った上体を崩してはいけません

「動く」とは、時間です

刻々と流れる時間の中でその時々の立ち姿を「結ぶ」のが「動く」です

次に、相手と「結」びます

この時には、「立」って「動く」自分を崩してはいけません

 

これらの積み重ねが崩れたとき、その稽古は身に蓄積されません

逆に悪い癖を身につけることにさえなります

稽古では、まず自分の積み重ねをよく観察しながら動きます

そして、意識の上で一段上がって

自分と、相対する相手を含めてよく観察します

関連付けていくのです

そしてさらに一段上がって道場全体をよく観察します

その「場」をよく観察するのです

「私」と周りの空間を関連付けるのです

 

そしてまだその先があります

そのはるか先に開祖が眼にした世界があります

この意味は深いものがあります

それぞれに考えてみてください

翁先生は神懸りと言われるほどの達人でした

極意を「宇宙と一体になること」と看破した人です

凡人の理解の外にいます

ではどうするか!

そのために道を残されました

宇宙と一体に結ぶために

まず手を取れと教えられたのです

同じ一日は無い

喜びに溢れる日もあれば

失意に沈む日もある

 

日々を生きることで人は様々な事を学ぶ

 

その日々の全てが修行の道であり

その一日一日が稽古です

 

 

合気道は人の生き様です

生きた技を得てください

「武産合気」

あなたの技はあなたにしか生み出すことは出来ないのです

では稽古を始めます

正座をして自分自身を結びましょう

そしてその一点が無限の宇宙に繋がっていることを確認してください

合気道の道

 

 

人は生まれ

 

やがて立ち

そして歩き始める

歩き始めて人に出会う

合わせの始めとなる

出会った結果ぶつかる

出会った結果逃げる

出会った結果共に行く

この道は

共に行くことを選んだ者の道です

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